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論文

Magnetization switching process by dual spin-orbit torque in interlayer exchange-coupled systems

増田 啓人*; 山根 結太*; 関 剛斎*; Raab, K.*; 土肥 昂尭*; Modak, R.*; 内田 健一*; 家田 淳一; Kl$"a$ui, M.*; 高梨 弘毅

Applied Physics Letters, 122(16), p.162402_1 - 162402_7, 2023/04

 被引用回数:1 パーセンタイル:49.29(Physics, Applied)

We report current-induced magnetization switching in Pt/Co/Ir/Co/Pt multilayers with different Ir layer thicknesses ($$t_mathrm{Ir}$$), where the perpendicularly magnetized Co layers are coupled ferromagnetically or antiferromagnetically through an interlayer exchange coupling and are sandwiched by the Pt spin Hall layers. The domain structures formed during switching vary depending on the magnetization alignment, i.e., ferromagnetically coupled or antiferromagnetically coupled configuration. These results clarify the macroscopic picture of switching process for interlayer exchange-coupled systems. The local picture of the switching process is also examined by a numerical calculation based on a macrospin model, which reveals the switching dynamics triggered by dual spin-orbit torque for both antiferromagnetically and ferromagnetically coupled cases. The numerical calculation shows that the dual spin-orbit torque from the two Pt layers effectively acts on the two Co layers not only for the antiferromagnetically coupled case but also for the ferromagnetically coupled one. Our findings deepen the under- standing of the switching mechanism in a magnetic multilayer and provide an avenue to design spintronic devices with more efficient spin-orbit torque switching.

論文

モンモリロナイトの膨潤挙動に及ぼす層間対イオンの影響; 分子動力学シミュレーションによる支配因子の評価

四辻 健治*; 舘 幸男; 佐久間 博*; 河村 雄行*

原子力バックエンド研究(CD-ROM), 29(2), p.63 - 81, 2022/12

放射性廃棄物の処分システムにおいて、粘土鉱物を主体とするベントナイトの物理的・化学的挙動を予測するうえで、モンモリロナイトの膨潤現象を理解することは重要である。本論文では、異なる層間対イオンを有するモンモリロナイト層間の結晶膨潤挙動を支配する因子を、分子動力学(molecular dynamics: MD)シミュレーションによって調査した。MDシミュレーションと分析試験の結果の比較から、5種類の単一イオン型(Na$$^{-}$$, K$$^{-}$$, Cs$$^{-}$$, Ca$$^{-}$$, Sr$$^{-}$$)のモンモリロナイト層間への水分子吸着量は、層間対イオンの水和数および層間対イオンの外圏・内圏錯体の差異に強く依存していることが確認された。また、これらの結果のより詳細な分析から、層間における対イオンの水和数は、対イオンの水和自由エネルギー、体積および対イオンの分布状態により決まることが示された。さらに、仮想的に対イオンのパラメータを変動させたMDシミュレーションの結果から、層間対イオンの水和自由エネルギーと電荷とが影響因子として競合することにより外圏錯体率が支配されていることが明らかになった。これらの結果から得られた影響因子を含む経験式によって、層間対イオンの異なるモンモリロナイト層間の膨潤挙動を定量的に予測することが可能となる。

論文

Large antisymmetric interlayer exchange coupling enabling perpendicular magnetization switching by an in-plane magnetic field

増田 啓人*; 関 剛斎*; 山根 結太*; Modak, R.*; 内田 健一*; 家田 淳一; Lau, Y.-C.*; 深見 俊輔*; 高梨 弘毅

Physical Review Applied (Internet), 17(5), p.054036_1 - 054036_9, 2022/05

 被引用回数:6 パーセンタイル:70.93(Physics, Applied)

反対称層間交換結合(AIEC)が最近発見され、人工反強磁性体(SAF)の傾角磁化の誘起を通じた磁化スイッチングにおいて極めて重要な役割を果たしている。本研究では、くさび形の層を持つ垂直磁化多層膜Pt/Co/Ir/Co/Ptにおける大きなAIECを報告をする。AIECの有効磁場は、対称的な層間交換結合に関連しており、AIECを強化するための指針を提供する。SAFに対する拡張Stoner-Wohlfarthモデルを開発し、その磁化スイッチングの重要な要素を明らかにする。理論的知識と実験結果を組み合わせることで、面内磁場のみによる垂直磁化スイッチングが達成される。

報告書

分子動力学法によるNa型スメクタイトの層間水の振動スペクトルの研究

鈴木 覚; 河村 雄行*

JNC TN8400 2001-005, 41 Pages, 2001/04

JNC-TN8400-2001-005.pdf:1.1MB

水-粘土混合系の分子動力学計算によりNa型スメクタイトの層間水の振動スペクトルと層間水の構造の関係について研究した。得られた計算結果は、赤外分光法によるスメクタイトの層間水の観察結果とよい一致を示した。水分子の分子内振動スペクトルは水素原子の速度自己相関関数をフーリエ変換することにより得られる。層間水の伸縮振動スペクトルには、3400cm-1に最大強度を持つ幅の広いピークと3650-3700cm-1周辺のやや鋭いピークにより構成される。前者の幅広いピークはバルク水のような水分子のO-H結合の伸縮振動に帰属され、一方、後者のピークはシロキサン表面に水素結合により配向したO-H結合に帰属される。酸素-酸素間の動径分布関数より水素結合距離を評価したところ、水分子とシロキサン表面の水素結合距離(3.0$$AA$$以上)は、水分子-水分子間のそれ(2.8$$AA$$)よりも大きいことがわかった。これらの結果は、水分子とシロキサン表面間の相互作用は、水分子を配向させる程度には大きいが、水分子-水分子間と比べると弱いということを示していると考えられる。

報告書

ベントナイト間隙水のラマン分光測定

鈴木 覚; 間中 光雄; 森田 光男*

JNC TN8400 2000-020, 25 Pages, 2000/04

JNC-TN8400-2000-020.pdf:0.94MB

高レベル放射性廃棄物の地層処分における多重バリアシステムで、圧縮ベントナイトには放射性核種の移行遅延効果が求められており、そのメカニズムの解明が急務である。圧縮ベントナイト中の放射性核種は、構成鉱物の粒子間間隙水や粘土鉱物(モンモリロナイト)の層間水を主な移行経路として拡散する。ベントナイト中の核種の見かけの拡散係数の活性化エネルギーが自由水中のそれに比べて高いという報告があり、これは間隙水や層間水の構造・粘性が自由水とは異なるためであると考えられている。この研究では、含水したベントナイトについてラマン分光測定を行ない、自由水とベントナイトの間隙水の構造の違いについて検討した。クニピアF(モンモリロナイト含有率98$$sim$$99重量%、クニミネ工業)とイオン交換水を任意の含水率(98$$sim$$75重量%)で混合した。混合物を超音波洗浄機で振とうした後、2ヶ月程度静置し、イオン交換水混合試料について5条件(含水率98、95、90、80、75重量%)およびNaCl水溶液混合試料について2条件(80、75重量%)についてラマン分光測定を行なった。また、あわせてイオン交換水、0.5M NaCl水溶液および乾燥状態のクニピアF(相対湿度25RH%)の測定も行なった。ラマン測定は反射モードで行ない、測定時の温度は室温で24$$sim$$26$$^{circ}C$$であった。測定の際には試料からの蛍光の低減に注意したが、除去できなかった蛍光についてはベースライン補正を行ない、2400$$sim$$4000cm-1の領域でラマンスペクトルを得た。イオン交換水は約3250、3400、3630cm-1にラマン散乱の極大ピークを持ち、3400cm-1のピーク強度が相対的に大きい。複数のピークの存在は、水分子間の複数の水素結合状態があることを示しており、低い波数のピークほど強い水素結合に帰属される。含水したベントナイトのラマンスペクトルは約3200$$sim$$3250、3400、3630cm-1にピークがあり、含水率の低下に伴い、3400cm-1に比べ3200$$sim$$3250cm-1のピークが相対的に増加している。また、乾燥したクニピアFのスペクトル(dry)は層間水によるもので、3150cm-1のピークが著しく大きい。NaCl水溶液を含水させた試料でも、含水率の低下に伴う、3250cm-1のピークの相対的な増加が認められた。これらのピークは、イオン交換水と同様に

報告書

緩衝材中の空隙構造に関する研究; 成果概要

田中 皓*

JNC TJ1400 99-042, 17 Pages, 1999/02

JNC-TJ1400-99-042.pdf:0.4MB

緩街材中の空隙構造に関しては,「均一空隙モデル」及び「有効空隙モデル」の2つのモデルが提案されている。緩衝材中の枝種の移行挙動を電気二重層理論に基づき検討するに当たっては,これらのモデルのいずれが適切なものであるのかを決定することが重要である。本研究では,クニピアFを対象として,表面電位の推定、庄密体の電顕観察を行い,その結果を基に計算された「均一空隙モデル」及び「有効空隙モデル」それぞれの実効拡散係数を実測値と比較して,これらのモデルの妥当性を検討した。また,クニゲルV一1を用いてCs及びNpの実効拡散係致を測定した。結果は次の通りである。(1)表面電位の推定 電位の測定を行い,表面電位の推定を行った。得られた値は,‐56.5mVである。(2)圧密体の電顕観察SEM観察及びSrCl/SUB2溶液を含浸させた圧密体中のSr分布のEPMA観察を行った。いずれの観察においても,「有効空隙モデル」を支持する結果は得られなかった。(3)「均一空隙モデル」及び「有効空隙モデル」の検討「均一空隙モデル」及び「有効空隙モデル」いずれからの実効拡散係数推定値も定量的には実測値との一致は得られなかった。しかしながら,充填密度依存性や拡散種の電荷依存性は定性的には「均一空隙モデル」での予測と一致した。それゆえ,空隙モデルとしては「均一空隙モデル」が適切ど考えられる。(4)Cs及びNpの実効拡散係数測定以下の植が得られた。Cs:3.9$$times$$10/SUP-10 m/SUP2/s(充填密度1.4g/cm/SUP3) 2.5$$times$$10/SUP-10 m/SUP2/s(充填密度1.8g/cm/SUP3) 3.2$$times$$10/SUP-11 m/SUP3/s(充填密度2.0g/cm/SUP3) Np:1.2$$times$$10/SUP-10 m/SUP2/s(充墳密度0.8g/cm/SUP3) 2.5$$times$$10/SUP-11 m/SUP2/s(充墳密度1.4g/cm/SUP3) 2.5$$times$$10/SUP-12 m/SUP2/s(充填密度1.8g/cm/SUP3)

報告書

緩衝材中の空隙構造に関する研究

田中 皓*

JNC TJ1400 99-041, 93 Pages, 1999/02

JNC-TJ1400-99-041.pdf:3.77MB

緩衝材中の空隙構造に関しては,「均一空隙モデル」及び「有効空隙モデル」の2つのモデルが提案されている。緩衝材中の核種の移行挙動を電気二重層理論に甚づき検討するに当たっては,これらのモデルのいずれが適切なものであるのかを決定することが重要である。本研究では,クニピアFを対象として,表面電位の推定,圧密体の電顕観察を行い,その結果を基に計算された「均一空隙モデル」及び「有効空隙モデル」それぞれの実効拡散係数を実測値と比較して,これらのモデルの妥当性を検討した。また,クニゲルV一1を用いてCs及びNpの実効拡散係致を測定した。結果は次の通りである。(1)表面電位の推定 電位の測定を行い,表面電位の推定を行った。得られた値は,‐56.5mVである。(2)圧密体の電顕観察SEM観察及びSrCl/SUB2溶液を含浸させた圧密体中のSr分布のEPMA観察を行った。いずれの観察においても,「有効空隙モデル」を支持する結果は得られなかった。(3)「均一空隙モデル」及び「有効空隙モデル」の検討「均一空隙モデル」及び「有効空隙モデル」いずれからの実効拡散係数推定値も定量的には実測値との一致は得られなかった。しかしながら,充填密度依存性や拡散種の電荷依存性は定性的には「均一空隙モデル」での予測と一致した。それゆえ,空隙モデルとしては「均一空隙モデル」が適切と考えられる。(4)Cs及びNpの実効拡散係数測定以下の植が得られた。Cs:3.9$$times$$10/SUP-10 m/SUP2/s(充填密度1.4g/cm/SUP3) 2.5$$times$$10/SUP-10 m/SUP2/s(充填密度1.8g/cm/SUP3) 3.2$$times$$10/SUP-11 m/SUP3/s(充填密度2.0g/cm/SUP3) Np:1.2$$times$$10/SUP-10 m/SUP2/s(充墳密度0.8g/cm/SUP3) 2.5$$times$$10/SUP-11 m/SUP2/s(充墳密度1.4g/cm/SUP3) 2.5$$times$$10/SUP-12 m/SUP2/s(充填密度1.8g/cm/SUP3)

論文

Inelastic nuclear resonant scattering of FeCl$$_{3}$$-graphite intercalation compounds

北尾 真司*; 三井 隆也; 原見 太幹; 依田 芳卓*; 瀬戸 誠*

Japanese Journal of Applied Physics, 38(SUPPL.38-1), p.535 - 537, 1999/00

 被引用回数:0 パーセンタイル:0(Physics, Applied)

グラファイト層間化合物は典型的な層状物質で、種々の物質を挿入した化合物が知られている。FeCl$$_{3}$$は層間に挿入できる物質の一つで層間でどのような物性を示すか興味が持たれている。挿入されたFeCl$$_{3}$$の研究として振動状態を測定することは重要であり、層間で振動状態が非等方的になっていることが予想されるが、挿入された物質に着目した振動状態の研究はいまだ少ない。非弾性核共鳴散乱は近年開発された方法で、元素を特定した振動状態の研究に有用である。われわれはステージ1のFeCl$$_{3}$$グラファイト層間化合物を合成し、SPring-8のBL09ビームラインで6MeVに分光した$$^{57}$$Fe核共鳴X線を用いて振動状態の角度依存性を測定した。その結果、X線をグラファイト層に垂直に入射した場合と平行に入射した場合でスペクトルに違いが見られ、グラファイトに平行な方向には層間のFe原子が振動しやすいという描像と一致する結果が得られた。

報告書

圧縮ベントナイト中のイオンの拡散に関する研究

大橋 弘士*; 佐藤 正和*; 小崎 完*

PNC TJ1600 98-001, 43 Pages, 1998/02

PNC-TJ1600-98-001.pdf:0.94MB

高レベル放射性廃棄物の地層処分のための基礎研究として、圧縮ベントナイト中のイオンの拡散に関する研究を行った。圧密し水で飽和したNa型モンモリロナイト試料の底面間隔をX線回析によって求めた。乾燥密度1.0$$sim$$1.3Mgm-3の試料では層間に3水分子層のみが、乾燥密度1.6Mgm-3以上の試料では層間に2水分子層のみが認められたのに対し、乾燥密度1.4および1.5Mgm-3の試料では層間に2および3水分子層の両方が認められた。また、乾燥密度0.9Mgm-3以下の試料では、3水分子以下の層間は認められなかった。一方、試料の含水率から平均の層間距離を推定し、X線回析によって求めた値と比較した。その結果、低乾燥密度では層間に3水分子層以上の水を含んだ比較的大きな空間あるいは細孔が存在しうるのに対し、高乾燥密度ではほとんどの水が層間にあると考えられた。Na+、Sr2+、Cs+、Cl-イオンの見かけの拡散係数を決定した。細孔拡散モデルに従って、得られたCl-イオンの見かけの拡散係数からモンモリナイト試料の形状因子を、Na+、Sr2+、Cs+イオンの見かけの拡散係数から収着係数をそれぞれ求めた。各イオンの収着係数は異なった乾燥密度依存性を示し、この原因として間隙水中以外の拡散の寄与が考えられた。見かけの拡散係数の温度依存性より求めた拡散の活性化エネルギーは、各イオンとも高乾燥密度試料において低乾燥密度試料より大きな値を示すとともに、一部を除いて自由水中のイオンの拡散の活性化エネルギーと異なった値となった。また、それらの乾燥密度依存性は、乾燥密度1.4Mgm-3を境に差が認められた。このような活性化エネルギーの変化は、間隙水中のイオン濃度の変化、収着エネルギーの変化では説明できないものであり、乾燥密度の増加とともに拡散プロセスが変化していることに起因する可能性が高いと考えられる。特に、高乾燥密度試料中の陽イオンの拡散では、細孔拡散よりはモンモリロナイト外表面あるいは層間の拡散が支配的であることが強く示唆された。

論文

The Interlaminar shear strength of FRPs under the influence of various radiation sources

S.M.Spiessberger*; K.Humer*; H.W.Weber*; E.K.Tschegg*; H.Gerstenberg*; 宇田川 昂

Advances in Cryogenic Engineering Materials, Vol.44, p.191 - 195, 1998/00

種々のGFRP積層板(S-ガラス繊維を双方向に配した補強材を持つエポキシまたはビスマレイミド樹脂)について、77Kのショートビームせん断試験を行うに先立ち、室温で2MeVの電子線並びに室温と5Kで異なる原子炉の放射線を用いて約270MGyの線量域まで照射した。低温照射した後試験片の半数は77Kで試験をする前に室温に戻すアニーリングを行った。積層板の層間せん断強度に対する異なる放射線源、照射温度、アニーリングサイクルに及ぼす影響についてそれぞれの結果を比較し、議論した。

論文

中性子線回折によるスメクタイトの構造解析

佐藤 努

スメクタイト研究会会報, 7(2), p.39 - 41, 1997/00

放射線廃棄物処分研究では、粘土鉱物を含む土壌・岩石中の物質移動を定量的に理解する必要がある。そのためには、組織や間隙の構造、さらには層間を含めた各構造内に含有する水の構造と特性を把握しなければならない。本文献紹介では、中性子線回折を使って上記の問題解決に取り組んだ研究論文を紹介し、得られているデータや見解をまとめた。

論文

粘土鉱物の水和と吸着水の構造

佐藤 努

鉱物学雑誌, 25(3), p.99 - 110, 1996/07

地球表層での水による物質の分野、移動、貯留現象の把握と変化の予測のためには、地殻構成物質である鉱物と水の相互作用を明らかにする必要がある。特に、表面積の大きい粘土鉱物は、水の主要経路となりうる鉱物界面や亀裂面を覆うように存在するので、上記の現象に大きな影響を与える。したがって、粘土鉱物中の水の物質や粘土鉱物-水相互作用を明らかにすることは、地球化学や廃棄物工学にとって第一級のテーマである。本解説では、粘土鉱物の水和や粘土鉱物中の吸着水の静的・動的構造について、溶液化学で取り扱うような自由水との相違点が明確になるように、現在まで得られた知見をまとめた。また、上記現象を理論的に取り扱う上での問題点と今後期待される研究の発展方向について示唆し、この分野のさらなる研究の必要性を説いた。

報告書

緩衝材の熱的変質機構の解明

渡辺 隆*

PNC TJ1626 96-001, 156 Pages, 1996/03

PNC-TJ1626-96-001.pdf:2.96MB

緩衝材の主成分であるスメクタイトの熱変質プロセスを議論した。スメクタイトの層間陽イオン(Ca/Na)と置換型(四面体/八面体)の分布構造の解析結果、スメクタイト粒子内でSegregation typeの混合層構造をとることがわかった。層間における水分子層の形成モデルの検討により、層間水分子の構造は二つのタイプ(Coordineted water,Free water)であることがわかった。また、天然条件下でのイライト化プロセスにおける物理化学的条件を検討する際、反応速度に影響を与える因子として温度がもっとも重要であり、母岩による影響は小さいことがわかった。さらに熱水条件下におけるスメクタイトのイライト化の実験から、イライト化にはCaのような高い水和エネルギーをもつ元素濃度より、K濃度が重要であることが分かった。以上のことから、スメクタイトは層間でKイオンを吸着、凝集する能力や、初期的に層間陽イオン(Ca/Na)や置換型などの不均一性を粒子中に持っており、これらの不均一性は、熱などの刺激でイライト化変換が起こることが推定される。

論文

粘土鉱物の吸着水のコンピュータシミュレーション

佐藤 努

SMECTITE, 6(1), p.45 - 48, 1996/00

放射性廃棄物処分の安全性研究では、地球表層での水による物質の分解、移動、貯留現象の把握と変化の予測が要求されている。そのためには、代表的な地殻構成物質である粘土鉱物と水の相互作用や粘土鉱物中の水の性質を明らかにする必要がある。本文献紹介では、粘土鉱物の吸着水のコンピュータシミュレーションに関する研究や書籍を紹介し、得られたデータや著者の見解をまとめるとともに、筆者の考えるコンピュータシミュレーションによる解析の問題点を指摘した。

論文

スメクタイトによるウラニルイオンの収着

佐藤 努

SMECTITE, 6(2), p.33 - 36, 1996/00

廃棄物処分の安全性研究では、処分場から漏洩する重金属や放射性核種、およびその化合物と環境構成物質との相互作用を明らかにする必要がある。特に、それらの長期挙動を把握するためには、収着サイトと収着形態に関する理解が不可欠である。本文献紹介では、代表的な地殻構成物質であり、各種の廃棄物処分場に緩衝材として設置予定のスメクタイトとウラニルイオンの相互作用に関する研究を紹介し、ウラニルの収着サイトに関して現在までに得られている知見をまとめた。また、先行研究で得られた結果を比較する際に注意しなければならない点や困難点に関して筆者の考えるところを記述した。

論文

Strong anisotropies in MBE-grown Co/Cr(001); Ferromagnetic-resonance and magneto-optical Kerr-effect studies

Schreiber, J.*; Frait, Z.*; Zeidler, Th.*; 目時 直人; Donner, W.*; Zabel, H.*; Pelzl, J.*

Physical Review B, 51(5), p.2920 - 2929, 1995/02

 被引用回数:21 パーセンタイル:74.58(Materials Science, Multidisciplinary)

最近の我々の研究からCo/Cr超格子におけるCo層はその膜厚の変化に伴って六方晶から体心立方晶に連続的に変化することが明らかになっている。この構造変化がこの磁性金属超格子の磁気的性質にどのような影響を及ぼすかを調べる目的で、磁気光力-効果及び強磁性共鳴の測定を行なった。その結果この超格子は3$$alpha$$遷移金属超格子としては非常に大きな垂直磁気異方性を示すことがわかった。また異方性エネルギーが膜厚の逆数に比例することから、この磁気異方性がCoとCrの界面に起因するものであることが明らかとなった。さらにFMRの測定から得られたg因子の膜厚依存性から軌道モーメントが膜厚が減少する程大きいことがわかり、これは界面でのLSカップリングのメカニズムによって異方性が生じていることを示唆している。この強い界面の効果はCoが体心立方晶に変化し界面で大きなバンド混成効果が生じているためと考えられる。

論文

Neutron powder diffraction study of intercalation compound Fe$$_{x}$$TiS$$_{2}$$

黒岩 芳弘*; 西村 正弘*; 野田 幸男*; 森井 幸生

Physica B; Condensed Matter, 213-214, p.396 - 398, 1995/00

 被引用回数:11 パーセンタイル:57.83(Physics, Condensed Matter)

鉄原子をインターカラントとする層間化合物Fe$$_{x}$$TiS$$_{2}$$は0$$<$$x$$<$$0.2でスピングラス相を、0.4$$<$$x$$<$$1で強磁性相をとる。クラスターガラス相と呼ばれる0.2$$<$$x$$<$$0.4の領域で鉄原子の配置を調べるために、中性子粉末回折実験を行った。その結果磁気秩序を示す回折ピークは観測できなかった。70Kでの結晶構造をリートベルト法で解析したところ、x~1/3でP31Cの空間群、z=6、a=5.9006$AA$、c=11.407$AA$であり、√3a$$times$$√3a$$times$$2cの超格子が形成されていることが判明した。一方x~1/4では、2a$$times$$2a$$times$$2cの超格子が形成されており、結晶構造はx~1/3のそれと違っていることを示している。

論文

スメクタイトへのネプツニウムの吸着に及ぼすカルシウムイオンの影響

香西 直文; 大貫 敏彦; 村岡 進

日本原子力学会誌, 36(10), p.955 - 957, 1994/00

 被引用回数:2 パーセンタイル:28.05(Nuclear Science & Technology)

高レベル放射性廃棄物及びTRU廃棄物の地層処分において安全評価上重要な核種である$$^{237}$$Npは、Na型スメクタイトに対し低いpH溶液中で特異吸着し吸着量が増加することをこれまでに明らかにした。一方、ベントナイトではその様な吸着量の増加は報告されていない。この違いについて、ベントナイトに含まれるカルシウムに着目して検討した。カルシウムイオンが存在するとスメクタイトへのネプツニウムの吸着量が少なくなり、それは特に低pH溶液で著しくなった。カルシウムイオンはスメクタイト層間に吸着しやすいといわれていることからも、カルシウムイオンはネプツニウムのスメクタイト層間への侵入を防げる働きが大きいといえる。

論文

Radiation effects on flexural strength and mode-I interlaminar fracture toughness of conventional and toughened epoxy matrix CFRP

平出 哲也*; 武田 展雄*; 宇田川 昂; 貴家 恒男; 瀬口 忠男; 浜 義昌*

Advanced Composite Materials, 1(4), p.321 - 331, 1991/00

炭素繊維強化樹脂(CFRP)の宇宙での構造材料としての使用を考え、曲げ強度と層間破壊靱性を高温・室温・低温で測定し、その照射効果を調べた。120MGyまで従来型も高靱性型も高い曲げ強度を示す。しかし曲げ試験の破壊様式が複雑であり破壊の仕方によって強度が変わると考えられる。そこで層間破壊靱性によって評価を試みる。高靱性型は見かけ上非常に高い値を示すがこれは繊維の切断を結果的に見ていることとなり真の値を測定するのはむづかしい。従来型、高靱性型ともに初期においてはほぼ等しい靱性を示すと考えられるが高靱性型は樹脂が20~30MGyで劣化している可能性がある。従来型は60MGyまで靱性の低下は認められない。

論文

FRPの層間破壊靱性(モードI)に及ぼす放射線照射効果

平出 哲也*; 武田 展雄*; 宇田川 昂; 貴家 恒男; 瀬口 忠男; 浜 義昌*

EIM-89-120, p.61 - 69, 1989/12

炭素繊維強化樹脂(CFRP)は宇宙用構造材料として期待されている。今回、炭素繊維とエポキシ樹脂を組み合せたCFRP(従来型T-300/3601、高靱性型IM-6/R6376)について電子線照射効果及び測定時の温度効果を調べた。どちらも照射によって初期に靱性の改善が見られるが、T-300/3601の場合照射によって内部の歪が減少したためであり、IM-6/R6376の場合ファイバーブリッジングする繊維の数が増えるためであると考えられる。また20~30MGyで靱性の低下が少し見られるが60MGyまで大きな低下は見られなかった。しかしながらIM-6/R6376の場合20MGy程度から-100、25、80$$^{circ}$$Cでの靱性がほぼ同じ値を示しこの線量域ですでに樹脂は劣化していると考えられ、材料として使用する場合に本質的に靱性が高いかどうか疑問が残る。

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